間違った愛情 死に至る思いやり
刀剣乱舞を擁護されている方の中には、大変知識も教養もおありで、何故こんな方があんなゲームを擁護されているのだろうと疑問に思う方もおられます。
自分が今楽しみたいから、それを邪魔されたくないから、ただそれだけのたかがゲームに面倒くさいから、「どこでもやってる」「よくあること」「法的に問題なくなったって公式が言ってる」と擁護するユーザーにはそういう方が多いのだろうとは思いますが、それだけでは説明のつかない方もたまにおられます。
個人的には根がとても優しい方なのではないかと思うのです。
ご自分の周りの、同じゲームが好きな、苦しんでいる現ユーザーの方の救いになれば、と、救世主のような擁護論を理路整然と語り、それに救いを見出すユーザーの方も多いのだと思います。
ここに、自分たちを受け入れ、肯定してくれる心強い味方がいる、と。
でも、長い目で見ると、それは本当の味方ではありません。
刀剣乱舞を擁護する事は、長い目で見れば、自分達の様々な大切な権利を自ら踏みにじるのと同じ事だからです。それは、一見甘い、実のところ死に至る罠なのです。
本当の救いはそんなところにはないのです。
先のような、知識も教養もおありの刀剣乱舞の擁護者の方の文章は、一見理にかなっているようで、大抵一番大事な「被害者」という視点が抜け落ちています。
私が拝見した限りでは、ほとんどがそうです。
現在までの盗用、著作権侵害の多くの事例は、企業から企業が、というものでした。
近年ではハイスコアガールというスクエニの漫画作品で、SNKのキャラクターを無許可で使用して、コミックスが回収になった例などがあります(2015年和解が成立)。
しかし、刀剣乱舞の盗用は、企業からはもちろん(!)性質の悪い事に個人レベルのブログなどからもありました。オリンピックロゴの盗用疑惑から派生した一連の盗用疑惑などでも、一般人の作品からの盗用も見られましたね。
さらにそれはほかならぬユーザーが見つけたもので、ユーザーの方には、ログインしていただいて、ニトロプラス公式のお知らせやツイッターで当時の情報を確認していただければと思いますが、そもそもそこには、「盗用」という文字すらありません。
謝罪があったかどうかすら確認されていません。
「謝罪がありました」と証言してくださったのは水墨画の画家の先生ですが、それすらもご本人のツイッターでの発言で、公式の情報ではないのです。そもそも、そこからの盗用があった事すら、公式は一言も言っていません。
そして、その対応は、企業としては言語道断で、信用を失うに足る、むしろ余りあるものです。
しかし刀剣乱舞は今も存在する、それは刀剣乱舞が「良いもの」だからではなく、今もログインし続ける、ユーザーがいるからなのです。情けない事に、消費者である私たちが、私たちのような一般の個人から盗みをして、謝罪すらしたかどうかも分からない会社にせっせと貢いでしまっているのです。
数年後の事を考えてみましょう。
そんな事が当たり前におこる社会になって欲しいですか。
今回は自分の好きな、楽しみなゲームでおこった事だから赦せるとしても、ご自分が全く興味のないものに、ご自分の撮った写真、描いた絵、文章などが無断で使われたら、さすがに嫌だと思いませんか。
そしてそれが発覚して、「こんな事があった、ゆるせない!」と声を上げてみたら、「みんなやってる」「使ってもらえたんだから光栄に思え」などと言われてどう思いますか。
そして、親告罪だから、「著作権者本人が訴えないんだから問題ない」と言われたらどうでしょうか。ご自分の生活がある中で、訴訟を起こす事はできますか。それはそんな簡単な事ですか。
とても厄介なことに巻き込まれた、自分は被害者だと思いませんか。
刀剣乱舞を支持するのは、そういうことが自分に起こっていいよと認めているという事です。
目先の楽しみでなく、今は心が痛んでも、どうか数年先の事を、お子さんがいらっしゃる方はお子さんの為にどんな社会を残したいかを考えて行動していただきたいです。
たかがゲームに大げさとは考えないでください。
そんなたかがゲームでも、それは多くの人や企業の利権の下にあるもので、夢の世界のものではありません。逆にそんなハードルの低いものだからこそ、現実に人間の権利を侵害する事はいとも簡単なのが恐ろしいのです。